場所もとらず、家事をしながらでも出来る筋トレの方法があります。非常に簡単、誰でもすぐ出来ます。太極拳ほど知られていませんが「站樁功」(たんとうこう)あるいは「站樁療法」 というもので、単なる筋トレというより、実は様々な病気の症状を改善する効果が期待できるという健康法です。病気の人でも症状に応じて強度を自分で調節しながら行えます。また太極拳同様、武術のトレーニングとしても行われます。

やり方はとにかく「じっと立つ」ことです。「站」とは「立つ」、「樁」は「くい」、つまり「地面に打ち込まれた杭のように」動かず立ち続けるという意味です。今覚えている限りのダイジェスト版、つまり私がやっている方法をご紹介しますと:

 

足を肩幅に開き

両手は肘を張り出してバレーボールを挟み持つ要領で胸の前まで上げ

上半身を心もち前に傾斜させ(ここまでは簡単)

膝を曲げる(ええっ、きついかも〜)

 

後は太ももの筋肉がブルブル震えて持ちこたえられなくなるまでひたすらその姿勢を保ち続ける。体のどこも動かさない。とにかくこれだけ出来ればこれ以上難しいことは考えなくても大丈夫です。難しいこととは:

呼吸は下腹を凹ませ横隔膜を意識しながら腹式呼吸。肛門に力を入れて引き上げ気味にする。などなど。上級になるとこれにイメージトレーニングのようなものも組み込まれます。

膝の曲げはごく浅い角度から始め、5分、10分と長時間立っていられるようになったら徐々に深く曲げて行きます。曲げる角度が大きくなるにつれて運動強度が高まります。初めのうちはものの2、3分ももたないかも知れませんが、段階を追って訓練すれば何時間も立ち続けられるようになるとのことです。

運動の真髄は「不動」の運動にある、樹木がじっと動かずに屹立していてもその幹の中を樹液が駆け上っているように、このようにじっと立っている間にも血液は体中を力強く駆けめぐっている、その生命活動を意識することが極意だそうです。

血圧、血糖値が下がり、心肺機能が強化されるとのことですが、私はふと気付くと歌を歌う時、とても楽に声がでるようになっていて驚きました。一見運動しているのは太ももの筋肉だけのように見えますが、腹筋や横隔膜の使い方まで変わったようです。カラオケの好きな方にオススメします。流しや洗濯機の前に立った時、膝をちょっと曲げることから初めて見ては?